あるお坊さまのところに、次のような相談があったそうです。
Aさん 「私には、ご先祖さまがいないのですが、どうしたらいいのでしょうか?」
お坊さま「ご先祖さまがいないとは・・・?お墓がないということですか?」
Aさん 「はい、お墓は兄の物(相続)で、私には入るお墓もありませんし、ご先祖さまがいないので す。」
・・・お坊さまは憂いたそうです。
何に憂いたかといえば、ご先祖さまのご供養云々の問題ではなく、相談者の糸が見えないことです、とおっしゃいました。
ご先祖さまがいないということは、自分がどこから来たのかがわからないということで、お墓(最期)の心配をしなければならないということは、行き先がわからないということだと思います、ともおしっしゃいました。
見えない糸、見えないけれどつながっている、その糸に沿って歩けば、人生のブレは少ないとも。
66年目の終戦記念日。ふと思い出したお話しでした。
戦没者の御霊の安らかならんことを。